校長挨拶
未来を創る子どもたちの健やかな成長を願って
第81回生の新入生の入学と共に校長に就任した内田です。これからどうぞ宜しくお願い致します。
これまで中学校には、埼玉大学教育学部の学生がお世話になる教育実習や研究協議会のために訪れることはありましたが、深く関わるのは自身が中学生であった時以来となります。入学式の集合写真が未だモノクロであったその頃から、かれこれ40年程が経ち、此度の就任に当たり、環境の変化が激しい現代において、多感で精神的にも著しい成長を遂げる中学生が今、何を考え、どのようなことに悩んでいるのかに思いを馳せてみて、これから私に出来ることは、中学生の話を聞き一緒に考えることではないかと想いました。
思い返してみると、私の中学生時代は、現在の仕事に繋がる音楽や美術等の芸術に触れる毎日でした。「好きなことは仕事にならない」「好きなことしか仕事にならない」或いは「好きなことは趣味として取っておく」等、「好きなこと」に対しては多様な付き合い方があり、海外には趣味を身に付ける教育を行う国があるように、趣味の捉え方も様々です。しかし、どの様な将来を選んだとしても、誰しも「好きなこと」から逃れるのは難しいことではないでしょうか。
中学校は、高等学校では出会うことの出来ない多様な感性や知性、好みや趣味を持った人に出会う貴重な場であると思われます。高等学校では別れ別れになったとしても、またそうであるからこそ、多様な「好きなこと」を持つ同級生や同窓生との触れ合いを通じて中学校時代に培った素養は、誰にとっても将来、大きくその人を助ける力になると思います。
80年を超す歴史を持つ本校には、優れた教育実践の歴史があります。教育学部の研究者との連携に基づく知識と知恵、同じ埼玉大学教育学部の附属である幼稚園、小学校、特別支援学校との連携に基づく発達過程や配慮事項等に関する知見、加えて、埼玉大学の多様な学部及び大学院の研究者の理論等の支援により長年築き上げて来たその教育の質は、現在も更新されつつあります。そうした歴史に支えられ創られて来た学校文化を礎に、生徒一人ひとりが未来を輝かせるための要を形造るため、保護者と地域の皆様のお力添えを頂きながら、本校の教職員は元より埼玉大学の教職員が手を取り合い生徒を支援し、この学校文化をより良いものにして参りたいと考えております。
現在、本校は「『考え実現する力』で未来を舵取りできる生徒の育成」の標語を掲げ、各教科で研究と教育を行っています。私の専門に関わる美術科においては、作品を制作する際の、例えば粘土であれば、その粘土から手が受ける抵抗力に対して、自身がどの程度の力を手に加えれば良いのかと考えながら、自らが思い描いたイメージに基づき成形するという過程を通して、そうした生徒を育成することを目指します。この過程を、帆船が風上の目的地を目指して海原を進む操舵法のタッキングになぞらえ「間切る」と呼ぶ研究者もいますが、生徒がこれから社会と言う大海原を自由に翔けめぐるのに必要なこの「間切る」力を蓄えるためにも、多様なことに挑み、多くの知識に触れ、豊かな感性を育む本校の教育課程はうってつけではないかと思います。
これから訪れる時代は、これまで以上に強い風が吹いて来るのかもしれません。どの様な風が吹いても、自身の良さや特性を失わず、目的地に向かって自在に舵を切ることの出来る人になるため、本校の生徒が元気に楽しく学ぶことが出来るよう尽力致します。そのためにも、皆様のご協力を賜り、共に生徒を支えて頂ければ幸いです。改めて、これからどうぞ宜しくお願い致します。
埼玉大学教育学部附属中学校長
内田 裕子
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内田 裕子(うちだ ゆうこ) 校長
埼玉大学学術院教授、東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科兼職教員。
専門は芸術学、美術科教育学。
埼玉県立浦和第一女子高等学校学校評議員、埼玉県私立学校助成審議会委員、理想教育財団評議員、教育美術振興会評議員、美術科教育学会理事。